学習支援と療育を両立させる現場の工夫とは?

「勉強を教える場所」と「子どもの特性に合わせた支援を行う場所」。
一見すると別々の機能を持つように見える“学習支援”と“療育”ですが、実際の支援現場では、この2つを切り離して考えることはできません。なぜなら、多くの子どもたちにとって「学び」と「生活」はつながっているからです。

本記事では、学習と療育をハイブリッドで支えるために、現場で実践している工夫や支援の考え方をご紹介します。


学習支援と療育の目的のちがい

学習支援は、主に「学力の向上」を目指します。
一方で療育は、行動・感情・社会性といった非認知的な側面や、発達特性に起因する困りごとへのサポートが中心です。
しかし実際には、「漢字の宿題を毎日できない」「授業中に集中できない」「忘れ物が多い」といった“学びに関わる課題”は、発達特性や生活習慣の影響が大きく、療育的アプローチが必要な場面も多くあります。


ハイブリッド支援における3つの工夫

① 学習内容とソーシャルスキルの統合

たとえば、国語の音読をする際に「聞いている友だちが気持ちよく聞けるようにするにはどう読むか?」を一緒に考えます。
算数の答え合わせでも、「間違っていても責めずに声かけする練習」といったソーシャルスキルの要素を組み込むことができます。

② 課題選びと成功体験のデザイン

単に難易度を下げるのではなく、「ちょっと頑張ったらできた!」という感覚を持てる課題設定が重要です。
できることを積み重ねる中で、自信が育ち、やる気も自然と高まります。

③ 支援環境と関わり方の工夫

支援者の声かけや座席の位置、プリントの渡し方ひとつで子どもの反応が大きく変わることもあります。
また、「選ばせる」「順番を見通す」「達成を視覚化する」など、発達特性に配慮した環境調整も有効です。


「どちらか」ではなく「どちらも」

私たちは、学習と療育のどちらかに偏るのではなく、「両方を支えること」が子どもの将来にとって大切だと考えています。
“勉強ができるようになる”ことも、“自分を好きになる”ことも、どちらも子どもにとっての大切な力です。

その力を育むために、今後も「学び」と「育ち」をつなぐ支援のあり方を探求し続けていきます。

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