“苦手”は、伸びしろかもしれない
「この子は集中力がない」
「落ち着きがない」
「計算がとても苦手で…」
こうした言葉を聞くたびに、私はこう思います。
“苦手”の奥には、その子なりの“好き”や“こだわり”が隠れているのでは? と。
発達支援の現場では、“できないこと”や“困りごと”をどうにかしようとするアプローチが多くなりがちですが、私たちはその裏にある“強み”や“興味”を見つける支援を大切にしています。
「苦手」に見える行動の“意味”を探る
たとえば、授業中に落ち着きがなく立ち歩いてしまう子。
一見“困った行動”ですが、よく観察すると…
- 手先が器用で、折り紙が大好き
- 作業や工作は最後まで集中できる
- 同じ席に長時間いると不安を感じやすい
など、“身体を動かすことで安心する”という特性や、“細かな作業への集中力”といった強みが見えてきたりします。
苦手をカバーするのではなく、好きから広げる
無理に苦手を克服させようとするのではなく、
その子の“好き”や“得意”を足がかりにして、他の学びや行動へとつなげていく。
たとえば:
- 電車が好きな子 → 数字・地理・時間の概念へ
- お絵描きが得意な子 → 漢字や語彙の定着に活用
- カードゲーム好きな子 → コミュニケーション支援に応用
苦手な課題に取り組む前に、「自分が得意だ」と思える体験を持つことが、子どもの自己肯定感を高め、挑戦意欲を育てます。
支援者の視点こそが“可能性の芽”を見つける
支援とは、決して“できないことを指摘すること”ではありません。
その子の中にある「きっかけの種」を見つけ、「育てていくこと」。
そのためには、日々の関わりの中で「なぜこうするのか?」「何が好きなのか?」という“意味”に目を向けることが大切です。
“苦手”の裏には、“まだ知られていない強み”が眠っている。
それに気づける大人でありたいと思います。