“困っている子”じゃなく、“困っているのは大人”かも?
「この子は問題行動が多くて…」「言っても聞かないんです」——
支援や教育の現場で、こんな言葉を耳にすることがあります。
でも、本当に「困っている」のは子どもでしょうか?
もしかしたら、私たち大人の側こそが、子どもの行動をどう受け止め、どう対応していいかに“困っている”のかもしれません。
見えている行動は、氷山の一角
子どもの「問題行動」は、実はその子が感じている不安や混乱、伝えられない思いの“表れ”にすぎません。
たとえば、教室で突然立ち歩く子がいたとします。
その背景には「音が気になって集中できない」「先生の話が分からない」など、本人なりの理由があるかもしれません。
大切なのは、「この子はなぜ今、こうした行動をとっているのか?」という視点で見ることです。
行動の裏にある“意味”を読み取ろうとする姿勢が、支援の第一歩になります。
大人の“枠”を広げると、子どもが安心できる
私たち支援者や保護者が「正しい」と思っていることや、「こうあるべき」と信じている枠が、子どもにとって窮屈なこともあります。
大人がその枠を少し広げてみると、子どもが落ち着いたり、自分らしさを発揮し始めたりすることがあります。
たとえば、座っていられない子に「立っていてもいいよ」「机を少し離して使おう」と声をかけるだけで、その子が安心して活動に参加できることも。
子どもに合わせた環境や関わり方を模索することは、大人側の“柔軟さ”を試されているとも言えるのです。
“困っているのは誰か”を問い直そう
私たちはつい、「子どもを変えよう」としてしまいがちです。
でも本当に必要なのは、「私たちの関わり方や環境のほうを変える」ことかもしれません。
「この子は困った子だ」ではなく、「この子は“困っている”のか?」「それとも“私たちが困っている”のか?」という問いを、自分自身に投げかけてみてください。
その問いこそが、支援の質を変える大切な視点になるはずです。