発達支援の現場において、教材選びや活動内容には常に工夫が求められます。中でも近年、注目されつつあるのが「ボードゲーム」の活用です。
一見すると遊びの道具ですが、その本質は驚くほど支援的。私はボードゲームを**「最強の支援ツール」**と呼びたいくらいに、可能性を感じています。
たとえば、ターン制のゲームでは「順番を待つ力」や「他者の行動を観察する力」が養われます。協力型のゲームでは、仲間とのやりとりや助け合いが自然に生まれます。勝敗のあるゲームは、悔しさに向き合う経験や感情のコントロールの練習にもなります。
しかも、子どもたちは「遊び」として参加しているので、構えたり警戒したりせず、自然に取り組むことができます。支援が“押しつけ”にならず、楽しさの中で育つという点が大きな魅力です。
支援の中でボードゲームを使うときに、私が大切にしているのは以下の3つです:
① 目的を明確にする
「ただ遊ぶ」のではなく、「この子にこの力を育てたいからこのゲームを選ぶ」という視点を持つようにしています。
② 子どもの特性に合うゲームを選ぶ
集中時間、ルールの理解度、視覚的な支援が必要かどうかなどを考慮して、ルールがシンプルでテンポのよいゲームを中心に選ぶことが多いです。
③ 遊びの中で関係を築く
「支援者」対「子ども」ではなく、「一緒に遊ぶ仲間」として関わることで、信頼関係も自然と深まります。
実際に、ゲームを通して「初めて自分の順番を待てた」「相手の勝ちを認められた」「友達と協力できた」といった変化が現れることも多く、遊びの力に驚かされる毎日です。
もちろん、すべての子どもに同じように当てはまるわけではありません。苦手な要素がある子には無理にすすめませんし、同じゲームでも少しルールを簡略化したり、チーム制にしたりと、調整しながら使っています。
それでも、「ボードゲームはあくまで遊びであって支援にはならない」と思っていた過去の自分に、「それは大きな誤解だよ」と伝えたくなるほど、実践の中でその価値を実感しています。
“楽しい”は、最強の学びになる。
これからも私は、子どもたちの「遊びたい!」という気持ちを大切にしながら、支援の中にボードゲームを取り入れていきたいと考えています。